薫葉豊輝の推理小説論4 | BLOG MYSTERY NOVELS

薫葉豊輝の推理小説論4



謎の論理

 常識の度合い。そのグラデーションの濃度によって、ある種の差異は決定されるかもしれません。(注=ここでは常識と定義していますが、幾らでも代用は利きます)

 常識。現実性など、世の中で当然とされることを器の上で劇化しても、おそらくは物語世界で起こる未来。その行き先を、読者はすぐに読んでしまえるでしょう。

 そこで、謎の不可思議性を高めるために、意外な謎を用意することが、推理小説における質の高さと、ある程度、比例していきます。

 もちろん、日常レベルでも、単純な謎を難しくみせる方法。それもあります。

 が、その場合は、高等テクニックが必要(単純な謎を隠す技術。その隠し方に焦点を置いたテクニックが必要)となるので、今ここで語るのには限界があります。

 そこで機会あれば、そのテクニックについても語らせてもらおうと思いますが、この場では、謎のなかでも意外性に重点を置いて、お話を続けたいと思います。

 さて、意外な謎。そのグラデーションの濃度によってもたらされる解けない謎。
 それが描かれる分野を主に、本格ミステリの分野が担い、読者側からの需要に対し、供給を行なっています。
 もちろん他の分野でも不可思議な謎を扱う推理小説は多大に存在します。
 しかし、今語る意外な謎という問題。

 それについての専門は、やはり過去から現在においても、本格ミステリが高い率で担っています。


続く。